タミフルのメリット・デメリットを比較せよ
みなさん、インフルエンザに罹ったことはありますか。 あれは辛いですよね。 で、その辛さを和らげるのがタミフルという薬です。 タミフルは、インフルエンザウィルスの増殖を防ぐ効果があり、 感染後48時間以内に飲むと、飲まない場合に比べて非常に楽になります。 そんなタミフルですが、最近いろいろと問題になっています。 タミフルを飲むと異常行動を起こしてマンションから飛び降りる、という話です。 実は、異常行動とタミフルにどのような関係があるかはよく分かっていません。 それどころか、本当にタミフルが原因かどうかも、統計的に考えれば怪しいものがあります。 厚生省の調査によれば、インフルエンザ患者のうち、 タミフルを飲んだ人と飲まなかった人の異常行動を起こす割合を調べてみると、わずかにタミフルを飲んだ人の方が異常行動を起こす確率が高かっただけで、その差は誤差の範囲と考えるべきです。 また、日本では毎年2〜3万人が自殺します。 毎年1万人のうちに2人以上が自殺する計算になります。 タミフルは毎年数百万人が服用しています。平成16年度では約860万人が服用しています。(厚生労働省より) 860万人いたら、そのうち1700人くらい自殺するだろうと計算できます。病気中に自殺するかという心理学的問題は無視しますが、インフルエンザの平均治療日数(タミフル服用日数)が5日間だとしたら、タミフル服用後に自殺する人数は1700÷365×5=23人だと計算できます。 つまり、タミフルを飲んで20人くらい自殺しても、それがタミフルのせいだとは断定できないわけです。仮に因果関係があったとしても、タミフル服用後に自殺した人の中には、他に何らかの自殺の理由がある人がいくらかは存在すると考えるのが自然なのです。 しかし、タミフルと異常行動の因果関係は、まだ科学的には否定も肯定もされていません。 そこで、ここからは、タミフルと異常行動に因果関係があると仮定します。 ここで、タミフルのメリットとデメリットを整理します。 メリット…インフルエンザが早く治る、インフルエンザによる死者の減少、楽になれる、早く仕事に復帰できる、など デメリット…腹痛、下痢、吐き気(一緒に飲む胃薬で緩和)、異常行動による死者の増加 人命を重視するならば、タミフルを服用するのとしないのでは、どちらが助かる命が多いか比べるとよいでしょう。 インフルエンザは苦しい病気ではありますが、10〜60歳くらいの健康な人なら、それが原因で死ぬ人は少ないです。インフルエンザで亡くなる人のほとんどは乳幼児・高齢者など抵抗力の弱い人です。 また、タミフル服用後に異常行動を起こすのは10代がほとんどです。 これは、10代へのタミフル処方を原則中止するよう判断した厚生労働省の判断が正しいと意味します。 では、免疫力が人並みにある10代の患者はどうするべきでしょうか。 私は、ケースバイケースで判断するべきだと思います。 特に何も無い日にインフルエンザに感染したのならば、タミフルを服用すべきではないが、受験や卒業式など大切な用事があれば、患者が希望すれば処方せよ、ということです。 この考え方には反発する人がいるかもしれませんね。「命がなによりも大切だと」 では、そのような人は、通学に片道徒歩1時間かかる高校生に対して自転車通学を禁止したいと思いますか?自転車は危険な乗り物です。毎年事故で数百人が亡くなり、その数は徒歩や自動車にのっている人よりも多いです。 しかし、自転車を使えば、通学時間は60分から15分に短縮されます。 そもそも、リスクを0にすることは出来ません。また、ある一定ラインより小さくすれば、コストが飛躍的に高くなります。自動車の使用を禁止しないのは、交通事故のリスクを限りなく小さくするのは理論的には可能だけど、現実的には難しいからです。 受験や卒業式への参加を諦めるコストと、数十万の一の確率のタミフルによる死のリスク、どちらを取るべきかは簡単な問題ではありません。 この問題について意見、質問、反論があれば、遠慮なくブログのコメント欄に投稿してください。 |